傷口と手当て
エミリー | 「ジャック! 待って、これ……」 |
私は彼の傷口の上に、持っていた白いハンカチを巻きつけた。 | |
ジャック | 「何、すんだよ……」 |
エミリー | 「一応、応急手当よ。後でちゃんと医務室に行ってね……?」 |
直接傷口に触れないように、包むようにハンカチを結ぶ。 ……少し、不恰好な気もするけれど、これで傷口が擦れることもないし、放っておくより良いだろう。 |
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ジャックは、私が巻いたハンカチを凝視してから、私に目を向けた。 緋色を宿したその瞳が、少し不機嫌そうに細められる。 |
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ジャック | 「…………へえ。育ちがいいんだな。騒ぐような傷じゃないだろ? ……それとも、今朝の詫びのつもり? だったら、やめてくれよ……そういうの」 |
エミリー | 「そんなんじゃないわ。 放っておけないだけ。何もしないで見ているよりも、ずっとマシよ」 |
ジャック | 「お前、お人好しだな」 |
エミリー | 「からかわないで。
貴方こそ、もっと自分を大切にすべきでしょう? こんなことして、身体を痛めつけるなんて」 |